推しには言えないこの気持ち

とあるガチ恋女の問わず語りブログ

推し事クロニクル11 家に帰ってみたら

※登場人物はすべて仮名です。

 

■2004年春

 

接触イベントの翌日。

 

ホテルで目覚めた私は、ゆっくり支度して、在来線に乗り近県へ足を延ばしました。そこには宮本さん(推し)ゆかりのスポットがいくつかあったりするので、ひとりで気ままに巡ったのです。

 

そうしている間も、昨日の貴重な出来事が嬉しく思い出されましたが、同時にだんだん寂しさのような感情も湧いてくるのでした。

それは、昨日のようなことは二度と経験できないだろうという予感から来る寂しさでもあったのですが、それだけじゃない。何から来る感情だろう。

 

いや。
何かは分かっていたのです。

 

何かと言えば、イベント中ずっと感じ取ってしまった、宮本さんと浅野さんのリアクションの差でした。

浅野さんのほうが、宮本さんファンサイトを気に入ってくれ、また、私がイベントに来たことを歓迎する態度を見せてくれていたのです。

浅野さんの反応自体は嬉しくてありがたいと思ったけれど、宮本さんファンサイトなんだもの、当たり前ですが、やっぱり誰よりも宮本さんご本人に喜んでもらいたかった・・。

 

思い返すたび、ちょっとしょぼんとしてしまう場面は、打ち上げの席で、やはり浅野さんがサイトを褒めてくださり、まだ見ていないという石川さんも「そんなに良いサイトなの?」と興味を持った様子で話題に加わる中、宮本さんが言った言葉。

 

「父がいちばん喜ぶと思います」

 

あー・・いちばんは宮本さんじゃないんだね・・って思ってしまったの。

 

本当は、サイトにどこか気に入らない点があったのかな。
その管理人が、冴えない魅力ゼロの女性でガッカリしちゃったかな。

 

そんなことを考えていると、寂しさを通り越して、どよんと落ち込んでしまうのでした。

 

さて、その日の夕方には新幹線に乗車、我が家に帰ります。

2日間の短い旅が終わりました。

 

帰宅するとすぐにPCを立ち上げ、2日間何もいじっていなかったファンサイトをチェック(当時は今のようなスマホはまだ存在せず、私はPHSユーザーで、外出時のネット接続もそれほどしない人間でした)。

それからメールソフトを起動します。

 

・・ん?

 

受信したメールの中の1通に目を留めました。

ファンサイトに設置してあるメールフォームから届いたものです。

 

浅野さんからでした。

 

短い文面でしたが、そこにはイベントお疲れ様でした、これからもどうぞよろしく的な挨拶が書かれていたのです。

 

びっくり。

 

宮本さんやその関係者さんとのご縁は昨日だけのもので、サイトを褒めてもらったとはいえ、今日からまた孤独に更新作業をしていくのだと思っていたのに(何しろ開設から1週間も経ってないのです。どこからもリンクしてもらっていないし、宮本さんファンからのコメントやメールもまったく来ていないという状況でした)。

 

メールフォームからのメール第1号が、浅野さんだなんて!

 

ご縁、続くんですね。続いちゃっていいのですね?

浅野さんと交流が続くということは、宮本さんとも繋がっているようなものなのです。

私は宮本さんにあまり良い印象を持ってもらえなかったのでは?という悲しい推測は、この瞬間はどこかにふっ飛んでいました。

 

浅野さんは、東京に戻った昨晩のうちにメールを送ってくれていました。

私は急いで、返信を打ちます。