推し事クロニクル8 打ち上げは続く
※登場人物はすべて仮名です。
■2004年春
打ち上げの席。
正確に言うと、宮本さん(推し)より、その隣に座っていた浅野さんのほうが、より私の近くでした。
浅野さんは事情があり、今日中に東京に戻らなければいけないので、最後までいられないという。
それもあって、私は「浅野さんに聞きたいことは今のうちに聞いておかなくちゃ」と、乾杯後、しばらくは浅野さんとばかりお話していました。
浅野さんから言われたのは、例えばこんな言葉。
「(この打ち上げ会場に向かう)タクシーの中、あなたの話題で持ち切り」
(うわあ、どんな話してたんだろう・・)
「ファンサイトのハンドルネームは知ってますが、ご本名もうかがってもいいですか?」
(そして、ハンドルの由来も聞かれる。ものすごく適当な由来なので、言うの恥ずかしかったです)
「宮本さんの公式サイトを作るとしたら、杉下さんのサイトへリンクを張るだけでいいかも」
(もちろん、これは冗談。でも、浅野さんは私のサイト、気に入っているみたいで嬉しかったです。コンテンツについて「この情報は僕も知らなかった」などといろいろ褒めてもくれました)
その間、宮本さんはというと、話しかけにくる参加者たちの相手で大忙し。物販タイムで売られていた品以外へのサインも、快く応じていました(私も持参してきたものがあったので、それにサインしていただきました)。
そして、ちょっと手があいたときは、私と浅野さんとのやりとりに耳を傾け、「そうなんですよー」とか、会話に加わってくれました。
とにかく、私は今までいろんな人のファンになったけれども、推して約半年で、ご本人と会えてゆったりと歓談している、という状況は前例がありません。
私は、10代の頃は日本の著名人のファンだったこともありますが、成人してからは長年、海外著名人ばかりを推してきたので(しかもなっかなか来日しない人たちだった)、私にとって「推し」とは、心理的にも物理的にも遠い遠い存在・・だったのに。
それなのに今の推しは、私のすぐ目の前で、ごはん食べてる。なんだこれ。
推しによっては、こんなにも体験できる世界が変わるのだ、という気持ちでした。