推しには言えないこの気持ち

とあるガチ恋女の問わず語りブログ

推し事クロニクル10 イベントが終わる

※登場人物はすべて仮名です。

 

■2004年春

 

打ち上げの途中から外は雨が降り出しました。やがて土砂降りに。

宮本さん(推し)は東京在住者ではなく、天気はどうであろうと、今日のイベント終了後は、運営スタッフさんのひとり(男性)の車で、ご自宅まで送ってもらうことになっていました。

私はと言えば、打ち上げ会場からかなり距離がある場所に今日の宿を取ってしまっていたのです。この土砂降りの中を歩くのは相当きつそうでした。

他の参加者さんにも雨で困っている人が何人もいて、スタッフさんがタクシーを手配し始めます。私も乗せてもらわねば・・とぼんやり思っていると、宮本さんを送る役目のスタッフさんが近づいてきて、なんと「杉下さんも僕の車にどうぞ。ホテルまで乗せていってあげますよ」と言うではないですか!

そんなそんな、そんなことまでしていただくわけにはいかないです!

 

首と手をぶんぶん振って遠慮しましたが、宮本さんも「どうぞどうぞ」と仰るのです。
や、優しい・・。
大変申し訳なかったけれど、宮本さんともう少しだけ一緒にいられるというのはあまりに魅力的でもあり、結局お言葉に甘えることにしました(それにしても、普通はありえない流れですよね。このイベントがいかに特殊か、ということです)。

 

トークショー、物販(サインと握手)、打ち上げ。夢のように楽しかったイベントはすべて終了。
そして、男性スタッフさんの運転で、私は宮本さんと数分間、雨夜のドライブをしました(宮本さんは助手席、私は後部座席でしたが)。
あっと言う間にホテルに着いてしまい、おふたりに何度もお礼を言って、お別れ。

すぐにはホテルの中に入らずに、去っていく車をしばらく見つめていました。

 

あの男性スタッフさんはいいな、これからけっこう長い時間?、宮本さんとふたりきりでお話できて・・なんて思いながら。

 

それから、なんとなく、こんなふうにも感じていました。
初めて会えた宮本さんといきなりこんなに交流できて、とても幸せだったけれど、こんな経験をすることはもう二度とないんだろうな、と。

ファンになって約半年でこんな経験してしまって、今後の私の推し事(推し活)はどうなるんだろう・・と。

推し事クロニクル9 打ち上げはまだ続く

※登場人物はすべて仮名です。

 

■2004年春

 

とっても残念だったけれど、浅野さんが東京に戻るために退出し、少し経ったタイミングで、このイベントのコーディネートをしている石川さんが、それまでてんでに歓談していた参加者たちに向けて、みんなで宮本さん(推し)の話を聞きましょう、宮本さんの傍に集まってくださいと声をかけました。

 

参加者たちは移動し、そして石川さんが聞き手となる形で、非常にくだけた雰囲気のトークショー第2弾が始まりました。

 

宮本さんはお酒が入ったせいもあるのか、昼間のトークよりもだいぶ饒舌になり、ジョークも交えながら、いろいろなお話をしてくれました。プライベートなことも聞けて楽しかったー。本当に幸せな時間でした。

 

しかし、幸せな時間はやがて終わりを迎えます。

推し事クロニクル8 打ち上げは続く

※登場人物はすべて仮名です。

 

■2004年春

 

打ち上げの席。

 

正確に言うと、宮本さん(推し)より、その隣に座っていた浅野さんのほうが、より私の近くでした。

浅野さんは事情があり、今日中に東京に戻らなければいけないので、最後までいられないという。

それもあって、私は「浅野さんに聞きたいことは今のうちに聞いておかなくちゃ」と、乾杯後、しばらくは浅野さんとばかりお話していました。

 

浅野さんから言われたのは、例えばこんな言葉。

 

「(この打ち上げ会場に向かう)タクシーの中、あなたの話題で持ち切り」
(うわあ、どんな話してたんだろう・・)

「ファンサイトのハンドルネームは知ってますが、ご本名もうかがってもいいですか?」
(そして、ハンドルの由来も聞かれる。ものすごく適当な由来なので、言うの恥ずかしかったです)

「宮本さんの公式サイトを作るとしたら、杉下さんのサイトへリンクを張るだけでいいかも」
(もちろん、これは冗談。でも、浅野さんは私のサイト、気に入っているみたいで嬉しかったです。コンテンツについて「この情報は僕も知らなかった」などといろいろ褒めてもくれました)

 

その間、宮本さんはというと、話しかけにくる参加者たちの相手で大忙し。物販タイムで売られていた品以外へのサインも、快く応じていました(私も持参してきたものがあったので、それにサインしていただきました)。

そして、ちょっと手があいたときは、私と浅野さんとのやりとりに耳を傾け、「そうなんですよー」とか、会話に加わってくれました。

 

とにかく、私は今までいろんな人のファンになったけれども、推して約半年で、ご本人と会えてゆったりと歓談している、という状況は前例がありません。

 

私は、10代の頃は日本の著名人のファンだったこともありますが、成人してからは長年、海外著名人ばかりを推してきたので(しかもなっかなか来日しない人たちだった)、私にとって「推し」とは、心理的にも物理的にも遠い遠い存在・・だったのに。
それなのに今の推しは、私のすぐ目の前で、ごはん食べてる。なんだこれ。

 

推しによっては、こんなにも体験できる世界が変わるのだ、という気持ちでした。

推し事クロニクル7 打ち上げ参加

※登場人物はすべて仮名です。

 

■2004年春

 

打ち上げ。

 

そう、このイベントはゲストのトークの後に、参加者との懇親のための打ち上げ(トークショー代とは別料金)があるのがお決まりなのでした。

私は打ち上げも「参加」で申し込んでいたのです。

 

宮本さん(推し)や浅野さんや石川さんなどは、トークショー会場から近くの打ち上げ会場までタクシーで、運営側の何人かと参加者たちは徒歩で向かいました。

その道すがら、私の問い合わせメールに対応してくださった運営スタッフさんとお話しました。
「やー、本当に来ましたねー」とスタッフさん。そんなに遠方からの参加者は珍しいのね・・。

 

また、ひとりの参加者が、私に声をかけてくる。
「物販のときに、宮本さんたちとの会話が聞こえてきちゃったんですけど、ファンサイトをやってらっしゃるんですか? なんというサイトですか?」と質問されたので、恥ずかしかったけれどサイト名を答える。

 

そんな、ちょっとした交流をしながらのんびり歩いて、打ち上げ会場である飲食店に到着。
会場は既に、宮本さんたちやほとんどの参加者が着席していました。

 

入り口で「どうしよう、どこに座ろう」とつっ立っていると、スタッフさん数人に「遠くから来た宮本さんファンなんでしょう? せっかくだから宮本さんの近くに座っては?」と、どんどん背中を押され、いちばん奥に鎮座ましましていた、宮本さんのほぼ真ん前に座らされてしまう。

 

ひ、ひえぇぇぇ、こういう展開も予想してなかった・・!

 

私の予想では、打ち上げはきっと、常連参加者さんや日本各地からやって来た宮本さんファンたちが良席を独占して、自分はひっそり隅っこにお邪魔させてもらうことになるんだろうな、と。でもひと言ふた言くらい、宮本さんとお話するチャンスはあるかな、あったらいいな・・なんて思っていたのに。

 

蓋を開けてみれば、このイベントはいろんなゲストが来るため、常連さんの中には宮本さんのファンというわけではない人もいて、宮本さんに興味がある常連さんにしても、みんなとても慎み深かった。そして過去記事に書いたように、他地方から来ているのは私だけ。

 

そういうわけで、打ち上げ会場は「遠くから初参加の、宮本ガチオタさん歓迎」という雰囲気になったのでした。ひいい。

 

目の前には美味しそうなお料理が並んでいるけれど、こんな宮本さんの近くでなんて、緊張して食べられそうにありません・・。

推し事クロニクル6 推しとの初接触

※登場人物はすべて仮名です。

 

■2004年春

 

驚いた私は、浅野さんに尋ねました。
「どうして、私のサイトをご存じなんですか??」

 

「だって、僕も宮本さん(推し)も、ググるの大好きですもん」
ニコニコと浅野さん。

 

いや、浅野さんの発言はおかしい。
前回の記事で書きましたが、私のファンサイトはググってもまだ出てこないはず・・。

きっと、浅野さんか宮本さんは(もしくは両者は)、最初にできた宮本さんファンサイトをちょくちょく覗いていたのでしょう。

だから、そこの掲示板に私が書き込んだファンサイト開設報告に気づいたのです。おそらくそうです。

 

私はこのイベントで宮本さんと対面しても、自分からファンサイトの話題は出さないつもりでいました(こんな遠方までサイトをアピールしにきたよ、と思われるのが嫌だったのです)。

なのに。
開設日かその次の日か、はたまたその次の日になのか分からないけれども(今日ということはないだろう)、ご本人はサイトを見つけてしまっていた・・。

 

改めて、インターネットとは、とんでもないものだ。

 

驚愕する私に向けて、さらに浅野さんが仰るには。

私が不明点をメールで問い合わせた際に対応した運営スタッフさんは、このイベントをコーディネートしている石川さんという人物(この方が持つ人脈のおかげで、このイベントは地方にしては多彩なゲストが登場する)に「関東から、熱心な宮本さんファンがやってくる」と知らせ、それは石川さんから浅野さん&宮本さんへと伝わっていたというのです。

そういうことが事前に伝わっていくくらい、このイベントはマイナーな、知る人ぞ知る催しで、これまでの参加者は遠くても同地方からだったそうなのです。そんな事情、私は想像もしてなかった・・。

 

「熱心なファンがくる」と聞いて、浅野さんと宮本さんは「最初に開設されたファンサイトか、数日前にできたばかりのファンサイトか、どちらかの管理人じゃない?」と予想を立てていたというから、ますますびっくり。

「後者でしたかあ」という表情で、浅野さんは微笑むのでした。

 

さてさて、その間も列は進み、私はついに宮本さんの前に!

私と浅野さんのやりとりを聞いていたらしい宮本さんは、顔を上げ、私と目を合わせると感心したような顔つきで言いました。

「サイト、すごいですね~!」

 

ああ。

本当に、私のサイトを見てくださったんだ。
こんなことってあるんだ・・。

 

感激でぼうっとなりながら、購入したものにサインをしていただき、さらに握手をしていただきました。初サイン。初握手。嬉しい・・。

宮本さんへの初プレゼントを用意していたのですが、無事、手渡すこともできました(可愛い形をしたハンディなマッサージャー)。

 

そして、宮本さんは私に言います。

「この後は、どうされるんですか?」

 

この後。

そう、このイベントは、この後が「大変」なのでした。

 

この後は。

「う、打ち上げに参加します」